2021年NHK大河ドラマ『青天を衝け』
ついに物語がフランスへと舞台を移します。
渋沢栄一の人生を大きく変えた欧州訪問は、私たちの日本にとっても大きな転換期の出発地点となります。
渋沢栄一は、徳川慶喜の名代として、パリ万国博覧会への参加することとなった弟・徳川昭武の率いる使節団の一員として同行します。
今回取り上げるのは、この徳川昭武です。
徳川昭武とはどのような人物なのか、また『青天を衝け』で昭武を演じている板垣李光人さんについてもまとめています。
徳川昭武という人物
徳川 昭武(とくがわ あきたけ)は、清水徳川家第6代当主であり、のちには水戸藩最後の11代藩主です。
●嘉永6年9月24日(1853年10月26日)
父・第9代水戸藩主・徳川斉昭の十八男(庶子)として誕生します。
生母は側室・万里小路建房の六女・睦子(ちかこ、のち秋庭)。
第15代将軍・徳川慶喜にとっては異母弟にあたります。
●文久3年(1863年) わずか10歳で上京すると、佐幕活動に従事。禁門の変や天狗党征伐には一軍の将として出陣します。
●慶応2年(1866年) 第14代将軍・徳川家茂が死去すると、名を「昭武」と改め、それまで20年間当主が不在だった御三卿の一つ清水徳川家を相続・再興します。
●慶応3年(1867年2月)、徳川15代将軍となった兄・徳川慶喜の名代により、パリ万国博覧会に参加するため使節団を率いて約50日をかけて渡仏します。
このとき、会計係として共に派遣されたのが渋沢栄一(『青天を衝け』演:吉沢亮)でした。
パリ万博使節団 主なメンバー
- 外国奉行:向山一履(演:岡森諦)
- 外国奉行支配:田辺太一(演:山中聡)
- 外国奉行支配:杉浦愛蔵(演:志尊淳)
- 随行医:高松凌雲(演:細田善彦)
- 昭武傅役:山髙信雄(演:山本浩司)
- 会計係:渋沢栄一(演:吉沢亮)
- 通訳:山内堤雲
- 翻訳者:箕作麟祥
- 世話掛同行:フランス領事レオン・デュリ
- 英国公使館通訳:アレクサンダー・フォン・シーボルト
- 留学生:海老名季昌・横山常守(会津藩)、木村宗三(播磨山崎藩)ほか
パリに到着後、昭武はナポレオン3世に謁見し、パリ万博を訪問しました。
留学も兼ねており、万博終了後に引き続き、幕府代表としてスイス、オランダ、ベルギー、イタリア、イギリスなど欧州各国を歴訪し社会経済を学びます。
昭武はこの頃の様子を日記につけており、『徳川昭武幕末滞欧日記』として残されています。
日記の中には、「朝8時、ココアを喫んだ後、海軍工廠を訪ねる」と記されており、日本人が初めてココアを飲んだ最古の史料として記録されています。
●慶応4年(1868年)1月、兄である将軍慶喜が大政奉還を行ったことにより、使節団の立場は微妙なものとなってしまいます。
新政府から帰国要請があるも、4月の段階では兄・慶喜からこのまま滞在し勉学するようにと伝えられます。
とはいえ、このころの使節団の財布事情は厳しく、先に帰国したものたちの援助を待つも、この時の江戸は既に新政府軍に明け渡されたあとでした。
しかも彰義隊の戦い(上野戦争)のまっただ中で援助どころではなかったのです。
●5月、ついに新政府よりの帰国命令書が届きます。
当初昭武は長期の留学を予定していましたが、新政府の命令に逆らうことが徳川家の印象を悪くすることへの懸念や滞在費のことから、やむなく1年で帰国することとなります。
●明治2年(1869年)フランスより帰国後水戸徳川家を相続し水戸藩主に就任。
版籍奉還により水戸藩知事となります。
●明治4年(1871年)廃藩置県により藩知事を免ぜられ、東京府向島の小梅邸に移住。
●明治7年(1874年)陸軍少尉に任官。翌年(1875年)には中院通富の娘・盛子(栄姫、のち瑛姫)と結婚します。
●明治9年(1876年) フィラデルフィア万国博覧会の御用掛としてアメリカへ。
その後、兄弟である土屋挙直・松平喜徳とともに再びフランスへ留学します。
●明治13年(1880年)留学先のエコール・モンジュを退学すると、欧州旅行(ドイツ・オーストリア・スイス・イタリア・ベルギー)の後、ロンドンへ半年滞在し、翌明治14年6月に帰国します。
●明治16年(1883年)長女・昭子をもうけるも、妻・盛子が死去。
この年の5月には30歳の若さで隠居願を提出し、甥の篤敬に家督を譲ります。
明治17年(1884年)生母・秋庭を伴い戸定邸(千葉県松戸市)に移住。
隠居後は自転車や狩猟、写真、園芸などの多彩な趣味を持ち、慶喜のいる静岡にも盛んに往来しました。
この頃の写真は、多く残されています。
●明治25年(1892年)次男の武定が子爵に叙され、松戸徳川家を創設します。
●明治31年(1898年) 篤敬が44歳で死去すると、遺児の圀順が11歳で水戸徳川家当主となり、昭武は後見となりました。
●明治43年(1910年)7月3日、小梅邸にて死去。享年58でした。
昭武が後半生を過ごした「戸定邸」
梅雨が明けて夏が来ました。戸定邸の上にも夏の空が広がっています。オニユリが咲き始めました。ヤマユリとの共演です。来週の19日(月)は休館日です。20日(火)は「戸定の日」です。戸定邸の庭に降りることができます。来館をお待ちしております。#Tojo #Matsudo #昭武 #戸定邸 #観光 #歴史 pic.twitter.com/XVYOZEd6x4
— 松戸市戸定歴史館 (@TojoMuseum) July 16, 2021
指定名称:旧徳川家住宅松戸戸定邸
旧徳川昭武庭園(戸定邸庭園)
千葉県松戸市にある戸定邸(とじょうてい)は、徳川昭武が建設し後半生を過ごした別邸です。
江戸時代、松戸宿は江戸と水戸を結ぶ水戸街道の宿場町でした。
松戸神社には水戸藩2代藩主徳川光圀ゆかりの銀杏の樹があり、古くから水戸藩とつながりの深い土地だったそうです。
明治30年代になると、兄の徳川慶喜が何度か訪れ、昭武とともに趣味の写真撮影などを楽しんだといわれています。
明治前期の上流住宅として国の重要文化財に指定。
さらに、戸定邸の庭園は、国の名勝に指定されています。
徳川家の住まいが公開されているのは全国でもここだけ!
一度訪れたい場所です♪
戸定が丘歴史公園
戸定邸と庭園、戸定歴史館(博物館)、松雲亭(茶室)から構成されている市立歴史公園。日本の歴史公園100選にも選定されています。
戸定歴史館
戸定が丘歴史公園内に整備された博物館です。(別称は戸定館)
松戸徳川家や徳川慶喜家の資料が展示されています。
施設詳細
入館時間:9時30分から16時30分(閉館17時)
※戸定が丘歴史公園は9時から入園可能。
休館日:月曜日(祝日の場合にはその翌日)、年末年始(12月28日から1月4日まで)
住所:〒271-0092 千葉県松戸市松戸714の1
電話:047-362-2050 FAX:047-361-0056
徳川昭武を演じる板垣李光人さんってどんな人?
大河ドラマ『青天を衝け』で、徳川昭武を演じているのが俳優の板垣李光人さんです。
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板垣李光人さんプロフィール
- 生年月日:2002年1月28日
- 出身地:山梨県
- 身長:164cm
- 血液型:AB型
- 趣味:写真、音楽を聴くこと、アニメを観ること、ゲーム。特技は水泳、イラストを描くこと。
- 好きなアーティスト:椎名林檎
- 事務所:スターダストプロモーション
- 来歴:2歳よりモデル活動を行い、小学5年生のとき現在の所属事務所であるスターダストプロモーション芸能1部モデルオーディションに合格。俳優として活動を開始。
イラストを描くのが趣味という板垣さんですが、その腕前は驚くべきもの。
将来はイラスト本を出版することが夢だそうです。
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自ら「オタク」であると公言する板垣さん。
好きな作品は『アイドルマスター SideM』、中でも推しはWの蒼井悠介とのこと・・・。
稲垣李光人さんの出演作品
映画
- 約束のネバーランド(2020年)
- ホリミヤ(2021年)
- ツナガレラジオ〜僕らの雨降Days〜(2021年)
ほか
テレビドラマ
- 花燃ゆ(2015年) 吉田寅次郎(幼少期) 役
- 仮面ライダージオウ(2018年)
- ここは今から倫理です。(2021)
ほか
稲垣さんの大河ドラマ出演は、今回の『青天を衝け』で2回目。
2015年の『花燃ゆ』で、吉田松陰の幼少期を演じています。
まとめ
大河ドラマ『青天を衝け』は、いよいよパリ万博編に突入しました。
日本のパリ万博への参加は、のちの日本を大きく変える、大きな一歩となります。
慶喜の名代としてパリに渡った若い昭武が、何を見て何を感じたのか。
また、袴から洋装に変わっていく、昭武演じる板垣李光人さんにも注目していきたいと思います♪