2018年NHK大河ドラマ「西郷どん」の衣装について迫りたいと思います!
わたしたちがさりげなく見ている衣装ですが、実は監督やデザイナーによって、ちゃんとした意味を持つこだわりの衣装なんです!
「西郷どん」衣装デザイナーは黒澤和子さん
#忍びの国 衣装や原画が展示されてるの見たいな…行きたい#黒澤和子 pic.twitter.com/wJ9omMcvry
— 『mike』 ⋆*❁* (@mike37434589) 2017年9月16日
2018年NHK大河ドラマ「西郷どん」の衣装を手掛けているのが、衣装デザイナーの黒澤和子さんです。
黒澤和子さんのお父様は、なんとなんと、
世界の巨匠・黒澤明監督なのです!!!
黒澤明さんといえば、「七人の侍」でおなじみ、日本だけでなく世界でも知られた映画監督ですよね。
そんな巨匠を父に持つ黒澤和子さんならではの衣装制作に取り組む姿勢が、このコメントにあります。
「作品は監督のもの。
その頭の中に必死に入り込み、イメージに合う衣装を用意するのが私の仕事。
見終わった観客が、衣装のことを全く覚えていないぐらい自然な感じにできるのが理想です」
まさしく、父である監督を間近で見てきた黒澤和子さんだからこそ、監督に寄り添い理想の衣装を作り上げることができるんですね!
衣装デザイナーになるきっかけも父の一言
世界の巨匠・黒澤明と女優・矢口陽子の子供でありながら、黒澤さん本人は映画界に入る気はまったくなかったのだといいます。
当時は株式会社黒澤プロダクションで、黒澤監督の秘書的な仕事をしていたそうです。
そして母であった矢口陽子さんが60歳で亡くなった後、父である黒澤明さんから突然「一緒に来ないか」と声をかけられたのだとか・・・
若い頃、デザイン研究所で学んだ経歴もあり、父のこの一言が衣装デザイナーとしての黒澤和子さんの新たな船出となったそうです。
そして、父・黒澤監督が書き残した、
「衣装は、それを着ている人の性格や過去の生活も物語る」
というメモを今も大切に持ち歩いているのだそうです。
黒澤さんの衣装デザイナーとしての原点は、巨匠・黒澤監督からしっかりと受け継がれたものだったのですね。
黒澤和子さんプロフィール
- 1954年4月29日生まれ
- 東京都出身
- 映画衣装デザイナー・エッセイスト
平成2年公開、黒澤明監督「夢」で初めてスタッフとして加わる。
「八月の狂詩曲」「まあだだよ」の2作で衣装を担当。
黒澤監督の死去以降、2012年公開「雨あがる」(小泉尭史監督)で、本格的に衣装デザイナーとしても活動を始める。
是枝裕和監督「三度目の殺人」
中村義洋監督「忍びの国」
北野武監督「アウトレイジ 最終章」
など、数多くの話題作品の衣装を担当している。
「西郷家」の衣装
それでは、衣装デザイナー黒澤和子さんが手がけた、大河ドラマ「西郷どん」の衣装へのこだわりを見ていきましょう♪
まずはなんといっても、西郷家の衣装です。
黒澤さんいわく、監督の頭の中のイメージを具現化するのがデザイナーの仕事、
ということで、監督からは西郷家の衣装について、
「素朴な感じにしたい。
西郷さんの温かな人柄を衣装でも出してほしい」
という要望があったのだそうです。
そこから考え出されたのが、ハリがなく手作り感たっぷりの西郷家の衣装です。
麻や芭蕉布に見える生地を選び、古びた感じに見えるように黒澤さん自ら、手で何度も洗いステンシルで柄が加えられたそうです。
西郷吉之助の衣装には純朴さを!
主人公・西郷吉之助の衣装の基本カラーである「生成り」。
西郷どんの衣装としてすっかり定着していますよね。
これは「何にも染まっていない純朴さ」を表しているのだそうです。
生成りに茶色の袴を合わせるスタイルは、幼少期から統一されています。
また、南国の人らしく袴の丈は短め。
吉之助はどんどん出世していきますが、イメージカラーである生成りはどの立場になっても変わらない予定だそうです。
確かに陣羽織の下は生成りというスタイルですね。
今夜の西郷どんは「西郷、京へ」
ついに幕末の遅咲き男・西郷吉之助が動乱の中心へと飛び込みます。明治維新まであと4年。ここからの西郷どん、凄まじいスピードで成長を重ねていきますから、シートベルトをお忘れなく。いよいよ始まります。#西郷どん pic.twitter.com/cf1FQgX705— 鈴木亮平 (@ryoheiheisuzuki) 2018年7月15日
今夜の西郷どんは『寺田屋騒動』
幕末薩摩藩の大きな悲劇が描かれます。
竹馬の友、流れる血、己の無力。
僕は涙なしでは観れません。是非。#西郷どん pic.twitter.com/lNaSDVUNA3— 鈴木亮平 (@ryoheiheisuzuki) 2018年6月17日
弟・吉次郎の衣装はお下がりをイメージ⁉
渡部豪太さん演じる弟・吉次郎の衣装も、吉之助と同じくアースカラーです。
わざと出した生地のくたびれ感は、家族のお下がりでは?と想像できますね。
西郷家の娘たちは花の色をイメージ
妹・琴を始め、西郷家の娘たちの衣装には、朱やラベンダーといった花の色をイメージしているそうです。
松坂慶子さん演じる母・満佐の衣装は、茄子紺(なすこん)や薄い藤色が基調でした。
こだわりは色だけではありません。
西郷家の男性が襟元を崩して着付けている一方、満佐や琴は武士の家らしくきちんと着付けています。
あたたたたた・・・生まれるぅ!
本日【総合】午後1:05〜第29回「#三度目の結婚」再放送!#大河ドラマ #西郷どん#柏木由紀 #園 pic.twitter.com/CYLSolHXHA
— 大河ドラマ「西郷どん」 (@nhk_segodon) 2018年8月11日
「大久保家」の衣装
西郷吉之助とは幼馴染で、のちも盟友として討幕を共に志す大久保正助。
アースカラーを基調にしている西郷家に対し、大久保家の衣装はチャコールグレーなどのダークカラーが基調となっています。
島で再会じゃ!#大河ドラマ #西郷どん#鈴木亮平 #吉之助#瑛太 #一蔵 pic.twitter.com/B69YM7REwo
— 大河ドラマ「西郷どん」 (@nhk_segodon) 2018年6月5日
これによって、西郷家に比べると家系に余裕があることや、大久保家らしい知性とスマートさを連想させます。
また、吉之助と正助の性格が正反対だということも、相反する衣装の色で表現されています。
「岩山 糸」の衣装
西郷隆盛の三番目の妻となる岩山糸。
黒木華さんが演じられていますね。
はい!ひょっこりどーん!#大河ドラマ #西郷どん#鈴木亮平 #吉之助#黒木華 #糸#堀井新太 #村田新八 pic.twitter.com/LCjXDaTtA5
— 大河ドラマ「西郷どん」 (@nhk_segodon) 2018年7月17日
ドラマの中で幼少期の糸は、男の子にまざって活発に遊んでいました。
初回妙円寺詣りのシーンで子役の演じる糸が、褒美の餅を目当てに男装し険しい山道を走るシーンがありましたね。
大人になった糸の衣装も、そんな活発な糸をイメージして、爽やかな薄いブルーが使われています。
活発さだけではなく、心の清純さやこうと決めたら貫きとおす潔さといった芯の強い性格を表しています。
吉之助と結婚してからの糸は、落ち着いたダークカラーの衣装になっていますね。
「島津家」の衣装
西郷家など下級武士とは打って変わって、華やかな島津家の衣装にも黒澤さんのこだわりが隠されています。
於一(篤姫)はクールビューティー
篤姫の衣装テーマは「クールビューティー」。
聡明さをイメージさせるシルバーよりの白、水色といった色が多く使われています。
いわゆる「姫」といった赤やピンクは、打掛の裏地や帯にとどめられています。
島津斉彬のカリスマ性を衣装で
渡辺謙さん演じる島津斉彬。
江戸で暮らしていることや先進的な思考を持つ斉彬の衣装は、一際異彩を放ちとてもかっこいいです!
異国のものを積極的に取り入れた斉彬。
羽織袴だけでなく洋服、取り入れられ、ダークカラーを基調に生地にはお洒落な模様が入っているものもあります。
ロングコートやマント、メガネ(マスク?)といった小物も、斉彬のカリスマ性がよく表れていると思います。
晴れ待ちの殿。#大河ドラマ #西郷どん#渡辺謙 #斉彬#傘さし姿も素敵でごわす pic.twitter.com/qghjxNywEv
— 大河ドラマ「西郷どん」 (@nhk_segodon) 2018年4月27日
まとめ
衣装デザイナーの黒澤さんいわく、華やかな戦国時代とは対照的に、江戸時代から幕末にかけての人々が来ていた着物は地味なものだったそうです。
だからこそ、同じ色でも素材や柄、色味などで差をつける必要があると大変さを語っています。
普段何気なく見過ごしてしまう衣装にも、監督やデザイナーのこだわりがたくさんつまっているんですね。
そんな思いや苦労を想像しながらドラマを見るとさらに楽しめるかもしれませんね♪